ある日、友人から「ひきこもり系ホラーRPGとして、評判が高いOMORI(オモリ)っていうゲームがあるんだよ。きっとかっしーに向いてると思うから、やってみない?」と勧められました。
正直ホラーは苦手です。
小さい頃、遊園地のお化け屋敷で置き去りにされてから、トラウマレベルに。
ですが「ひきこもり」という謳い文句に妙に惹かれました。
ただ何となく思っていたのは「どうせ主人公がひきこもりで、でも仲間がいて、仲間のおかげでひきこもりを卒業する物語なんだろう」と安易に見ていました。
でも配信サイト・Steamで見たレビューは、ほとんど「ひきこもり」には触れておらず「レビューを見ずにやってみて欲しい」というのが圧倒的でした。
Steamからダウンロードして、恐る恐る起動させました。すると・・・
絵が、可愛すぎる・・・
ご覧の通り、絵がソフトタッチで柔らかく、とても可愛らしいのです。手描き風でシンプルながらも、どこか温かさを感じる。オモリだけ何故かモノクロなのですが、それもまた味になっているなと思いました。
この絵でどう「ホラー」な部分が展開していくのだろうか・・・?
そんな風にドキドキしていたら、いきなり来たのがホワイトスペースでの「刺す」という選択肢。
そしてやって来る、現実の世界。そこでやっと「ひきこもり」らしいサニーの世界が始まりました。
いきなりの「死」
私は初回、ケルが来た時に扉を開け、サニールートを選択しました。
そして現実パートが始まって直後、ハッキリ告げられた訳ではありませんが、町の人やケルの発言などから「姉・マリの死」を知ります。しかもそれからもう4年も経っているというのです。
そして1番ビックリしたのは、オーブリーちゃんがヤンキー化していたことでしょうかw
あ、ちなみに恥ずかしながら、私のサニーの名前は「かっしー」にしました^^;理由は「ひきこもっているから」「目が眠そうな所が似ているから」ですw
そしてオモリサイドでは人懐っこかったバジルくんは、何があったのか心配するくらい、ケルはともかくかっしーにまでビクビク・・・。
かっしーが3日後に引っ越すと聞き、動揺してトイレへ・・・ここで私は何となく「バジルくんはマリの死に関わっている」と直感しました。
恐怖を超えた、先にあるもの
かっしー=オモリには苦手な物がたくさんあります。
ひきこもってるのに、1人ぼっちが嫌ってなんだそりゃ?!と最初思いました。
そして終盤、これらは全てマリとの思い出に結び付くことが分かります。
- 1人ぼっち→姉・マリが死んで居なくなったため。
- 高い所→マリの死の真相に絡む。
- クモ→溺れる直前、肩に大きなクモが居たため。
- 水→湖で溺れ、ひざが悪いマリに助けてもらった。
かっしーはオモリの世界でみんなに応援されながら、この怖い物を1つ1つ乗り越えていきます。
バジルくん犯人説
物語を進めていくにつれ、マリの死因が「自殺(首吊り)」はおかしい・・と思い始めました。みんなから慕われ、勉強もでき、ヒロという素敵な彼氏もいる。弟とも仲良し。唯一「真面目過ぎる」という長所にもつながる短所はあったようですが、マリが自殺する要素が見当たらないのです。
最初「なんでも出来るマリだからこそ、周囲のプレッシャーに押しつぶされちゃったのかな・・・(´・ω・`)」と思いましたが、それにしては不自然。だとしたらもっとかっしーママは落ち込んでいそうなものなのに。
そんな疑問を抱えながらプレイしていくと、バジルくんがかっしーに「かっしーくん・・・もう・・・逃げようがないのかな?」と病床から訴えて来るシーンがありました。
パッと見には「オーブリーちゃんからのいじめから逃れたい」ように思えたのですが、でも相手がオーブリーちゃんであれば逃げる事は可能だろうとすぐに考え直しました。それこそ、かっしーのようにひきこもっていれば会うこともないし、町中に変な噂を広められても、耳に入ることもない。
もしかするとバジルくんは、マリの死に絡んでいて、そこには何らかの罪があり、その罪から「逃げようがない」=真相を隠せなくなっているのでは、と思いました。つまり、バジルくん犯人説です。そう考えると、いくらオーブリーちゃんから不当な扱いを受けていても我慢しているのも、かっしーが引っ越すと聞いて焦ったのもつじつまが合います。
ただもしそうだとすると、バジルくんがかっしーにやたらビクビクしている態度を取っていることについては説明がつかなくなります。
ただ私はこのバジルくんのセリフで「マリちゃんは自殺していない」と確信しました。
「死」と「罪」に向き合うゲーム
(※以下、ネタバレを含みます。未プレイでマリちゃんの死の真相を知りたくない方はブラウザバックを!)
物語の終盤、バジルくんは再びかっしーに意味深な問いかけをします。「(不気味な影が)君にも見えているんでしょ・・・?」と。
ここでバジルくんは、かっしーに怯えていたのではなく、かっしーの後ろに見えている影=なにかに怯えているのだと分かりました。
やがてバジルくんは、どんどん狂乱的になっていき、かっしーに「1人にしないで」と助けを求めながらも「きっと大丈夫」という矛盾したセリフを繰り返していきます。
ブラックスペースではこれでもか!というほど、救いようのないバジルくんの姿を見せつけられ・・・ここで私の中のバジルくん犯人説は保留になりました。
夢の中でバジルくんの写真を拾い集めていき、やがてマリちゃんの死の真相にたどり着きます。それは一番「あり得る」と頭の中のどこかで思っていたのに、「いや、さすがにそれは残酷すぎる」と打ち消していた「主人公犯人説」でした。
正確にはかっしーはマリちゃんと揉めた時、うっかり突き落としてしまっただけです。写真の中でかっしーはマリをベッドまで運び、そこでうずくまっています。おそらく「そこまでするつもりはなかった」のでしょう。ですがマリちゃんはひざが悪く、踏ん張る力がなかったため、落ちてしまった。
そしてそこに居合わせたバジルくん。私は当初、バジルくんがたまたまそこに居合わせて、写真を撮ってしまったから首吊りの偽装に脅されて付き合わされているのかと思いました。
ですがバジルくんは夢の中のあの木の下でかっしーに謝っていました。
バジルくんの写真をよく見ると、マリのベッドの横で落胆していたかっしーの肩をバジルがつかみ、何か言い聞かせているかのような1枚があります。
つまり、マリの転落死を首吊りに偽装する提案をしたのは、バジルくん。
では何故そうしたのか。
まずバジルくんにとってかっしーは大切な親友であり、憧れの存在でもありました。「憧れ」なのは、夢の中(ヘッドスペース)のオモリへのセリフからも読み取れる箇所がいくつかあります。
そして「後ろの影」の存在。
姉のマリちゃんを慕っており、強いはずのかっしーが、そんな事をするはずがない。こんな怖いことをさせてしまったのは、かっしーではなく、かっしーの後ろにいる影であり、かっしーは操られているだけなのだ。
だから今度は自分がかっしーを救う番だ。
おそらくそんな風に彼は思ったのでしょう。
そして偽装を提案し、2人でマリの遺体を運び、バジルくんは呆然としているかっしーに代わって、マリの首に縄をかけます。
でもそれが間違いでした。だから謝っていたのです。
写真の最後は、吊られたマリの遺体を振り返り、その遺体から一つ目の影=「なにか」が飛び出し、かっしーたちに付きまとうようになりました。
この「なにか」をバジルくんたちはマリからの呪いだと思い込み、その呪いによってバジルくんは「逃げられない」と悟ったのでしょう。
かっしーの引っ越しです。
自分はかっしーのために偽装をし、マリの首に縄をかけたのに。そんな自分を置いていくのか。それは裏切りとも取れたでしょう。
一方かっしーはオモリの存在により、マリの死に徐々に立ち向かうようになりました。自分の罪を受け入れ、ずっと逃げ場所になっていたオモリを自分の中に消しこみ、最後は仲間を信じて全てを打ち明ける決断をします。
本編では語られませんが、かっしーは決してマリが嫌いになって突き落とした訳ではありません。
バジルくんのアルバムで、花冠をみんなで作る場面があります。その中で「ケルくんとオモリ(かっしー)くんは飽きて遊びに行っちゃった」という風なメモがあります。つまりかっしーも結構飽きっぽい性格みたいで、おそらくバイオリンの練習にどこかで飽きたのでしょう。
でもマリは真面目で完璧主義。そういう所がますます負担になり、かっしーは友達がお金を出し合ってプレゼントしてくれた、大事なバイオリンを壊してしまう。それを見てますますマリもカッとなってしまい、かっしーを厳しく叱責してしまう。
どちらもお互いの、あるいは周りの期待に応えたいという気持ちがあり、それが上手くかみ合わないが故のいらだちによる行為だったと言えます。
綺麗じゃないエンディング
かくして私はTrueEndを迎えました。
パッと見にはかっしーは自分の弱さを乗り越え、自分の罪を認め、バジルくんも救い出し、仲間にも真実を打ち明け、めでたしめでたし。
ですが、おそらくそうではないと思われます。
まずヒロたちが「君はここまで頑張った」「俺たちを信じてくれ」と語るのは、夢の中の世界の話です。現実にはそう簡単にマリの死の真相を受け入れることは出来ないでしょう。
ケルはある程度の所で「かっしーは悪くない」と受け入れそうな気はします。が、オーブリーちゃんとヒロくんは、きっとまた悩むでしょうね。
そしてバジルくん。彼もまた、信頼しているかっしーに「仲間をだまし続けた」という罪をも被せることになってしまい、罪の意識が消えることはないと思われます。
ここで私が気になったのは、かっしーの両親はどうなんだろう?という所。本編ではママが声だけで登場、お父さんと思わしき人物は夢の中の世界でマリが首吊りした木を「何故落ちないの・・・」とブツブツ繰り返しているシーンで出て来ます。
具体的に触れられた部分はないので、ここからは完全な私の推測ですが、おそらく両親は息子の罪を知っていたと思われます。かっしーパパはそれが理由で離婚もしくは家を出ている。ママはかっしーまでも失いたくがないために、過剰なまでに「愛してるよ」などのメッセージを頻繁に送っていたのかと思います。
ですが、かっしーが仲間に真相を打ち明けたことにより、両親もまた再び苦しむことになるのでしょう。
先を考えるとすごく苦しくて、決して綺麗じゃないエンディングでした。
でも綺麗ではない所が逆にリアリティがあり、人間の汚さとかずるさなども決して置き去りにしない、素晴らしいゲームだとも思わされました。
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